2018年9月中旬、伊豆修善寺温泉の老舗「新井旅館」に宿泊しました。
創業が1872年(明治5年)だけあって建物のほとんどが登録文化財となっており、レトロ建築好きにはたいへん興味深い宿でした。
新井旅館のシンボルとも言える青洲楼の塔
1881年(明治14年)築
私が初めて新井旅館の存在を知ったのは2012年6月。(静岡県民でありながら知るのが遅すぎかも。。。)
日帰りで修善寺観光をしていた際、観光スポットである竹林の小径を通過して桂橋を渡る途中で見かけた新井旅館のレトロさに衝撃を受け、いつか宿泊してみたいと感じたものでした。
それから6年後、旦那の唐突な提案で新井旅館へ宿泊する運びとなりました。
今回は新井旅館の豊富な部屋タイプとお風呂について書き留めてみました。よろしければ!
新井旅館の客室棟と予約時の部屋タイプ
新井旅館はとても広く、客室は棟によって趣が異なり、各棟の客室は3~4室となっております。
客室棟も登録文化財で、以下に客室のバス・トイレの有無、改装された時期を簡単にまとめてみました。
◎吉野の棟「特別室棟」(風呂+トイレ)
◎桐の棟「準特別室棟」(風呂+トイレ)2016年改装
◎花の棟(トイレ)
・雪の棟(風呂+トイレ)一部風呂無しの部屋もある
・あやめの棟(トイレ)
・月の棟(トイレ)
・桂の棟(シャワーブース+トイレ)2018年改装
・霞の棟(バストイレ無し)2018年10月OPEN
新井旅館 公式サイト参照:http://arairyokan.net/room.htm
今回はじゃらんnetで予約しましたが、上記◎については棟が指定されたプランがありました。
他は棟の指定は特に記載されておらず、スタンダードタイプの風呂ありか風呂なし、もしくはお部屋お任せとなっており、雪の棟狙いでスタンダードタイプの風呂付きにしたところ、なぜか準特別室の桐の棟に案内されてしまいました。
桐の棟 1916年(大正5年)築
客室の広縁から眺める池の鯉が優雅でした。
初めての新井旅館で古いお部屋を想像していたため、改装された準特別室は豪華すぎてスタッフに予約方法について尋ねてみたところ、「部屋に何か問題でも?」と逆に尋ねられ、思わず「部屋が良すぎるのですが。。。」と切り返してしまい。
予約に関しては、宿泊したい棟が明確ならば電話予約がいちばんかと思われます。その際、客室指定は出来かねるような事を言っておりましたが、ネット予約でも宿泊したい棟を伝えれば希望が叶うかも。
スタンダードタイプの客室で申込みましたが、今回はたまたま運良く豪華なお部屋が利用できたのかもしれません。
新井旅館・館内探検
利用した桐の棟は改装済みのため、古い客室にありがちな暗くてどよ〜んとした印象は全くなく、トイレもお風呂もあるので快適に過ごせました。
逆に古い客室を求めている方には綺麗すぎて拍子抜けしちゃうかも?
室内は時おりかつての建物の名残りを感じる部分もあるのですが、他の棟に比べるとちょっと少なく感じたり。単に私が見落としていたせいもあるかもですが。。。
以下は館内探検をした際、個人的に時代を感じた通路であります。
①野天風呂へ行く際の通路
②あやめの棟 1932年(昭和7年)
③花の棟 1934年(昭和9年)
人気のある花の棟は特に美しさを感じました。
写真映えがイマイチで省略してますが、月の棟の狭い階段や冒頭写真の青洲楼の塔へ続くと思われる階段も個人的には時代を感じて興味深かったです。
新井旅館には登録文化財が15箇所もあるようですが、全ての見学は出来ませんでした。
新井旅館に宿泊した感想
憧れの宿でのんびり優雅に過ごす予定でしたが、館内探検とお風呂巡りに夢中で完全なのんびりとは言えませんでした。
以下、個人的に気になった事を書き留めておきます。
新井旅館のお風呂について
大きな旅館なので、館内に何箇所かお風呂が存在します。
◎天平大浴堂(登録文化財)
◎野天風呂
・あやめ風呂
・有料貸切風呂「睡蓮」
・無料貸切風呂「かわせみ」
これだけお風呂があれば客室に風呂なんて不要かと思ったのですが、今回に関しては部屋に風呂があって良かったかも。。。と感じたり。
◎のお風呂は、基本お湯に浸かるだけといった造りです。
天平大浴堂 1934年(昭和9年)築
すごく開放的なお風呂で、下側の細長い窓から鯉の泳ぐ様子が見えます。洗い場は桶でお湯をすくうタイプなので、髪の長い女性が洗髪するには不便かもしれません。
野天風呂
周囲はかなり開放的でお風呂からの景色も素晴らしい上に、野天風呂に行く途中に見える庭園も見事でありました。(特に苔が♪)
体を洗える現代的なお風呂は残りの3ヶ所となりますが、あやめ風呂は洗い場が3つほどしかなく、混雑していると待たされる可能性があります。
無料貸切風呂については予約制ではないため、部屋からいちいち空きをチェックするのが面倒に思えて利用しませんでした。
加えて季節が寒い時期、上記の風呂場まで行くのが寒そうかと余計な心配をしてしまいました。
渡りの橋 1899年(明治32年)
屋根はあるけど壁はなし。貸切風呂は橋を渡ったすぐ先、他のお風呂もこの橋を渡らなければなりません。
宿泊した9月は気候的には良かったかも。渡りの橋の先の外廊下で飲む湯上りのビールは最高でした。ただし、虫刺されに注意です。
下は館内図と宿泊した日の入浴案内です。(入浴時間は日によって異なるかも)
お風呂は男女の入れ替えでスケジュールが忙しなく、普段の温泉旅行では朝と晩に入れば良しとしておりますが、今回は以下のように欲張ったお風呂巡りとなりました。
①野天風呂 → あやめの湯(夕方)
②客室風呂(夜)
③天平大浴堂(朝)
野天風呂と天平大浴堂は、周囲の景色がよく見える明るい時間帯の方が良さそうかと思います。
客室風呂も温泉で、お風呂場まで行くのが面倒な時や洗髪や体を洗いたい時には便利でした。蛇口をひねれば温泉が出てくるという贅沢さも素晴らしく、どのお風呂も温浴効果は抜群で、しばらく汗が止まりませんでした。
野天風呂は防犯上の都合で、女性が入浴できるのは16時から19時45分という限られた時間でした。夕飯を新井旅館で食べるとなると尚更時間が限られます。
早めにチェックインしたので入浴可能な16時を待って野天風呂に直行。他に入ってくる人が居らず貸切状態だったのはラッキーでした。
そのため、周囲から聞こえる車のエンジン音や、隣接した建物に誰かが居たら。。。と思うと少々落ち着かない部分もあったのですが、次第に開放的すぎる空間が心地良く思え、誰もいないのをいいことに自撮りしたり、野天風呂の石に生えた苔を眺めたりとたいへん贅沢なひと時を過ごすことができました。
前置きがたいへん長くなりましたが、お風呂に関しては客室の多さの割に風呂の洗い場が少ないのでは。。。?と感じた次第であります。ここまで読んでくれた方ありがとうございます!
新井旅館の広縁で寛ぐには勇気が必要?
今回利用したのは桐の棟の客室でしたが、広縁で寛ぐには少々抵抗があってあまり利用できませんでした。
向かいは花の棟の出入り口が丸見えで、花の棟の客室から出入りする方と視線が合います。加えて中央には池があり、鯉に餌を与える事ができるため、そこに訪れた方と視線が合う事もあり。
結局なんとなく落ち着かなくて、広縁に居る時間は僅かでした。
ちなみに新井旅館を知るきっかけとなった桂橋から見える客室ですが。。。
ここは観光スポットである竹林の小径への通過点であり、明るい時間帯は観光客が多くて広縁で寛ぐには勇気が必要かと感じたり。
仮に寛いだとしても写真撮影スポットでもあるため、「あの人邪魔なんだけど。。。!」なんて舌打ちされそうで怖い!
川の流れる音もけっこう大きいので、実際の居心地はどうなのかしら。。。なんて勝手に余計な心配をしてみた次第であります。
上の写真の場所は花か吉野の棟かと思うのですが、新井旅館は広すぎて探検していても自分がどこに居るのか分からなくなる事がありました。
苔も素敵な新井旅館
新井旅館を含めた周辺は苔も豊富で、2012年に日帰り観光した際の写真を見返したら苔ばかりを撮っており、今回も相変わらず苔に夢中になってしまいました。
上写真の苔は、新井旅館の古い写真にも写っていた石に生えた苔と建物に記された青洲楼の文字を頑張って撮ろうとした私だけの新井旅館のベストショットでありますが失敗に終わりました。
新井旅館についてはまだまだ書き足りないですが、とりあえずこの辺で終わりにしておきます。