2010年8月11日、中国・ハルビンにある「侵華日軍第七三一部隊遺址」を見学した時の記録です。
その際、森村誠一氏の「悪魔の飽食」を持参しました。
「悪魔の飽食」は、現在アラフィフの私が10代後半の時に購入したものの、内容が恐すぎて途中で断念した本であります。(高校の授業で紹介されたのがきっかけ)
本は手放してしまいましたが、731部隊への興味はずっと残っており、いつか跡地を見学したいと思っていました。
そして月日は流れ、願いが叶った2010年!
旅行前に旦那が「悪魔の飽食」を購入したことで、完読して旅のお共として持参。
本の最初に七三一部隊要図が折り込まれています。
元隊員による想像図だったかな。
建物の位置や大きさにズレがあった記憶ですが、現地に行った際は役立ちました。
先日、森村誠一氏の訃報ニュースを見たことで、悪魔の飽食を持って731部隊跡へ行ったことを思い出しました。
同時に過去記事のリライト意欲が高まり、写真も追加して改めて現ブログに書き留めてみました。
内容は、現在の731部隊博物館(侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館)のリニューアル前の記録となります。
2010年はこんな感じだったということで見ていただけたらと思います。
路線バスで行く731部隊跡:準備編
時計がある建物がハルビン駅
宿泊先は、駅向かいの「龍門大厦 Harbin LongMen Hotel」にしました。
旅行前に調べた情報だと、731部隊跡へのバス路線「338路」乗り場が判りづらいとの事で、前日の夜に確認しに行きました。
バス乗り場は、ハルビン駅に向かって左に昆侖大酒店というホテルがあり、その建物の裏通りにありました。
ハルビン駅からは見えない場所でした。
ハルビンの駅前には信号機が無く、交通量も多いので横断は命懸けでした。
現地の方に倣って強引に横断するも、最初は慣れなくて深い水溜まりだらけの所に入り込んでしまうこともありました。
道の真ん中で立ち往生し、クラクションを鳴らされたまくった時は頭の中が真っ白になってしまいました。
バスカードも購入
宿泊したホテルの近くにバスカード売り場があったので前もって購入。
購入保証金15元+カードケース1.5元でした。
購入保証金は、バスカードを返却すれば戻ってくるとのこと。
「充20元」と筆談し、20元分チャージしてもらいました。
バスカード売り場は、白い小さな小屋に「充値(処)or(所)」と書かれていました。
ホテルのスタッフが一緒に歩いて案内してくれました。やさしい!
バス乗車時はカードを読み取り機にかざします。
バス料金は基本1元ですが、カードを使用すれば1割引でありました。
路線バスで行く731部隊跡:乗車編
731部隊跡へのバス路線は338路、運賃は2元でした。
当日バス停に向かったら、タイミング良く目的のバスが来ました。
バス乗車時は、椅子取り合戦のため乗車口に人が殺到。
乗車時間が長いので、みなさん座りたいのでしょう。
もともと列に並ばない習慣のせいか、各々が我先に入ろうとします。
そのため、バスの入り口に何名かの体が挟まり、動けない状態となりピクピクしておりました。
インパクトある光景を目にして呆気に取られていた為、椅子は確保できず、終点までの約1時間は立ち乗りでした。
道路状況が悪いため、急ブレーキをかけることが頻繁にありました。
バスの上部に黄色いつかまり棒がありましたが、位置が高くて懸垂状態だったため、低い位置にあるつかまり棒をこの時ばかりは死守しました。(夕方、手のムズムズが気になり確認したら、ずっと握っていたせいか指の皮がむけていた)
当時、バスには運転手の他に女性の車掌さんがいました。
車内には車掌さん用の席があるので、そこには座らないようにしました。
1時間ほどで731部隊跡へ
バス終点の道路を少し戻った所に731部隊跡がありました。
バス終点の新疆(しんきょう)大街までは1時間程。
距離が長いので、途中から運賃が上がりました。
加算ポイントを過ぎると、車掌さんが1元を回収しにきました。
バスカードをかざすか、1元を支払います。
最初に2元払う場合は、引換券を貰います。
引換券は運転席右側に置いてあったりしました。
途中で車掌さんが回ってきた時に、その引換券を渡すというシステムでした。
見学を申し出る
南門衛兵所
当時は休憩所になっており、守衛の男性が居ました。
この建物の真裏にチケット窓口がありました。
731部隊跡の見学は無料ですが、パスポートの掲示を求められました。
ガイドを頼んでみた
1号棟(本部)
守衛の男性が無線で連絡。入口に女性が待機していました。
「今、あなたは、私に100元、支払いますか?」
一人100元でのガイド料を持ち掛けられました。
不思議な日本語でしたが、言いたいことは理解できたので、200元で日本語ガイドをお願いしました。
1号棟(本部)2階の見学
![731部隊博物館 足かせと桶](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010662a.jpg)
![防毒マスク 731部隊博物館](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010669.jpg)
展示順路は、1号棟(本部)の2階からでした。
建物内はグレー色で暗く、重々しい雰囲気でした。
ガイドは731部隊が如何にして作られたかに始まり、旧日本軍が使用した武器や器具、人体実験の模型などを見学しました。
![人体実験の模型 731部隊博物館](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010665a.jpg)
![人体実験の模型 731部隊博物館](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010673a.jpg)
過去に本を読み、気が遠くなった内容が再現されていました。
731部隊博物館は修復中とのことで、実際に使われた展示品の多くは10年程前に発掘された物が多く感じられました。
731部隊・石井隊長の部屋と階段
1号棟(本部)の2階、右角が731部隊・石井隊長の部屋でした。
当時使用されていた家具も展示。
石井隊長専用の階段
階段は細くて急でした。
ガイドさんが、『隊長は、背が高かったらしいです』と教えてくれました。
階段を降りて、次は1階の見学となりました。
1号棟(本部)1階の見学
細菌爆弾による人体実験の模型
![731部隊博物館](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010689a.jpg)
![731部隊博物館 骨のこぎり](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010690a.jpg)
1号棟(本部)1階は、細菌戦や人体実験の様子、その時に使用された器具などが展示されていました。
見学できた部分は、建物正面より右側部分のみでした。
左側は近いうちに展示可能になるとのことでした。
1号棟入口を真っ直ぐ行くと通路があり、左右に犠牲者の写真が飾られていました。
5元で、お花をお供えする事ができるとのことでした。
1号棟(本部)内部の展示はこれにて終了。
通路は途中で終わっており、右側にトイレがありました。
トイレは2号棟に当たります。
恥ずかしながら、見学中いちばん怖かったのがトイレでした。
人が居なくて暗かったせいか、入るのを思わずためらってしまいました。(結局入ったけど。。。)
ロ(ろ)号棟
模型中央、グレーの「口」のような部分が、通称ロ(ろ)号棟
ロの一番下の棟を3号棟とし、時計回りに一画ずつ4、5、6号棟となります。
ロ号棟の中央2カ所が7号棟と8号棟となり、マルタと呼ばれる捕虜を収容していた特設監獄となります。
ロ号棟の一つ手前は2号棟で、その手前が最初に見学した1号棟(本部)になります。
外にある遺構見学へ
途中で終わっている通路先の建物
本来ならロ号棟に通じます。
3号棟跡
前述の通路先建物の先は、ロ号棟の一部、3号棟に通じます。
上写真左側の茶色い部分は、地下の床になります。
6号棟跡
3号棟の右側には、ロ号棟の一部である6号棟の跡が残っていました。
ちなみに奥の白い建物は、アパートです。
731部隊跡の敷地内ですが、勝手に建ててしまったそうです。
そのアパート近くで見かけたバイクが素敵でした。
車体には、SUZUKI GN125Fとの記載がありました。
ハルビンではこのバイクに限らず、シート部分に派手な柄布+竹シートを施した仕様を良く目にしました。
個人的にはかなり斬新で、そんなバイクがたくさん目にする事が出来た街歩きは楽しかったです。
ボイラー室跡
裏側
6号棟跡の更に右側には、ボイラー室跡がありました。
裏に回ると、真ん中の煙突が途中で崩れているのが確認できます。
![731部隊 ボイラー室跡](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010704a.jpg)
![731部隊跡 線路](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010699a.jpg)
ガイドさん曰く、隣に広島のような平和記念公園を作る予定があると教えてくれました。
吉村班凍傷実験室
内部
敷地内にあるアパートを超えると、凍傷実験を行った吉村班の実験室が残っていました。
建物内部の左側にある四角い基礎部分は、冷蔵庫があった場所だと教えてくれました。
見学はまだ続きます。
小動物地下飼育室
![731部隊 小動物地下飼育室](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010712.jpg)
![731部隊 小動物地下飼育室内部](https://wabisabi-biker.com/wp-content/uploads/2023/07/s-R0010715.jpg)
ネズミなどを飼育していた建物だったかな。(この頃には疲れがピークに。。。)
階段を降りると2つの部屋がありました。
中は真っ暗で、とても涼しかったです。
目が暗闇に慣れるまで、みんなで待機しました。
黄鼠飼育室
内部
小動物地下飼育室の先は、イタチか何かを飼っていた建物だったかな。
床がマス目状に区切られていました。
外にある遺構の見学は以上となります。
ショップの案内でガイドも終了
ショップは2号棟になります
ガイドさんの「絵葉書あります。」の言葉に思わず反応。
どんな絵葉書かと期待したら、白黒の重々しい雰囲気漂う731部隊の建物写真でした。
その隣には、ボイラー室が印刷された缶バッジも!
絵葉書は人に出すには難しく、缶バッジも使い道に悩んでしまい、購入は見送りました。
731部隊関連書籍の日本語本は「老兵の告白」のみ。ここでしか買えないと言われました。
缶バッジはともかく、本と絵葉書は買えばよかったかな。。。と少し後悔しております。
当時はまだ731部隊博物館は発掘及び修復中ということで、ショップも未完の状態といった印象でした。
ショップの案内で、ガイドさんとはお別れとなりました。
分かりやすい日本語でお願いして良かったです。
お疲れさまでした!
おわりに
2010年に訪れた、731部隊跡での見学記録でした。
当日は、見学者がほとんどいなかった記憶です。
修復中で見学できる箇所は限られていましたが、ガイドさんと一緒だったこと、敷地が広いため見ごたえはありました。
ただ、夏の快晴日での見学は暑かったです。
他にも残っている建物があるとのことで、年内(2010年)ぐらいには車で回る見学も検討しているとガイドさんが教えてくれました。
そうなれば、もっと快適に効率よく見学できそうですね。
今は実現されているのかな?
侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館
最近の写真は<地図とクチコミ>から確認できます。